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「元請の現場が土日閉所になって休みが増えた。でも、うちは日給制だから職人の手取りが減ってしまい、『これでは生活できない』と離職されてしまう……。」
最近、このようなご相談を建設会社の経営者様から数多くいただいています。
建設業では、時間外労働の上限規制への対応や働き方改革の推進により、元請企業を中心に週休2日(現場閉所)の取組みが急速に広がっています。
一方で、下請企業では「稼働日数が減る=職人の給与が減る」という問題が生じ、人材確保や定着に大きな影響を与えています。
しかし、この変化は単なるピンチではありません。
給与制度や労務管理を見直すことで、週休2日を「採用力向上」と「会社の体質改善」につなげることも可能です。
この記事では、社会保険労務士の立場から、建設業における週休2日への対応方法と実務上のポイントを分かりやすく解説します。
1 なぜ元請の週休2日で下請企業が苦しくなるのか
問題の本質は、長年建設業で採用されてきた日給制(日給月給制)と、請負契約の仕組みにあります。
稼働日数の減少がそのまま給与減少につながる
例えば、これまで月25日働いていた現場が週休2日となり月20日程度の稼働になると、日給15,000円の場合は約75,000円の収入減となります。
会社としては同じ職人を確保したい一方で、職人から見れば生活に直結する問題です。
離職リスクが高まる
収入が減れば、
「もっと稼働日数が多い会社へ転職しよう」
と考える職人が出てくるのは自然な流れです。
近年は建設業全体で人手不足が深刻化しており、一度離職した職人を採用し直すことは容易ではありません。
労務費を価格へ転嫁できていない
本来、週休2日に対応するのであれば、
* 人工単価
* 労務費
* 法定福利費
を適正に見直す必要があります。
しかし、「元請との関係が悪くなるのではないか」という理由から、十分な価格交渉ができず、自社で負担しているケースも少なくありません。
2 給与制度を見直すことが第一歩
職人の生活を守りながら週休2日に対応するには、給与制度の見直しが重要です。
近年は、日給制から月給制へ移行する企業も増えています。
ただし、単純に
「日給×20日=月給」
としてしまうと、当然ながら給与が下がってしまいます。
そのため、
* 現在の年収水準
* 想定される年間労働日数
* 時間外労働
* 賞与の有無
などを総合的に検討したうえで、給与制度を設計することが重要です。
給与制度の変更は就業規則や労働条件通知書の見直しも必要になるため、慎重な対応が求められます。
3 1年単位の変形労働時間制を正しく活用する
建設業では、
* 天候
* 工程
* 繁忙期・閑散期
によって業務量が大きく変動します。
こうした業種では、1年単位の変形労働時間制が有効な場合があります。
あらかじめ勤務日・休日を定めることが必要
1年単位の変形労働時間制では、対象期間開始前までに勤務日や休日を労使協定等で定める必要があります。
そのため、業務の都合だけで自由に休日を入れ替えられる制度ではありません。
安易な「振替」はトラブルの原因になる
例えば、
「雨で休工になったので今日は休日扱いにし、代わりに今週土曜日を勤務日にする」
といった運用は、制度の要件や就業規則の内容によっては問題となる場合があります。
休日の振替と代休は法的な取扱いも異なるため、事前に制度設計をしておくことが重要です。
年間を通じた労働時間管理がポイント
繁忙期と閑散期を見据えて年間カレンダーを作成することで、法令を遵守しながら効率的な人員配置が可能になります。
なお、制度導入には労使協定の締結・届出や就業規則の整備など、法令上の要件を満たす必要があります。
4 元請との価格交渉は「根拠」を示すことが重要
「下請から単価交渉は難しい」
そう考える経営者も少なくありません。
しかし近年は、建設業法の改正や国土交通省の方針により、適正な労務費の確保が強く求められています。
そのため、合理的な根拠を示した価格交渉は、決して特別なことではありません。
例えば、
* 週休2日を前提とした人工単価
* 法定福利費の明示
* 労務費の積算根拠
* 適正な工期であること
などを見積書に反映することで、交渉しやすくなります。
元請企業もコンプライアンス対応を求められる立場であるため、客観的な資料を示した交渉は以前より受け入れられやすくなっています。
5 週休2日を採用力アップにつなげる
若い世代は、
「休日が少ない」
「収入が不安定」
という理由で建設業を敬遠する傾向があります。
そこで、
* 月給制
* 週休2日
* 社会保険完備
* 明確な評価制度
を整備することで、求人の魅力は大きく向上します。
まとめ
元請による週休2日化は、下請企業にとって大きな経営課題です。
しかし、
* 給与制度の見直し
* 労働時間制度の整備
* 適正な労務費の価格転嫁
* 就業規則の整備
を進めることで、人材確保と働きやすい職場づくりを実現するチャンスにもなります。
制度設計を誤ると、未払賃金や労使トラブルにつながる可能性もあります。
「自社ではどのような給与制度が適しているのか」
「1年単位の変形労働時間制を導入できるのか」
「就業規則や年間カレンダーをどう整備すればよいのか」
このようなお悩みがありましたら、社会保険労務士が貴社の実情に合わせて制度設計から運用までサポートいたします。お気軽にご相談ください。
執筆者 N
参考リンク
建設業|建設業・ドライバー・医師の働き方改革総合サイト はたらきかたススメ|厚生労働省

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