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2026.07.06
建設業者向けお役立ち情報
【建設業の企業防衛】中小建設会社が今すぐ就業規則を整備すべき理由

建設業への時間外労働の上限規制(いわゆる2024年問題)が適用されてからしばらく経ちますが、業界全体で労働時間の適正化やコンプライアンス(法令遵守)への意識はかつてないほど高まっています。

御社には最新の法改正に対応した「就業規則」がしっかりと整備されているでしょうか。

「うちはまだ社員が5〜6人の現場だから、就業規則なんて作ってない」
「労働基準法でも、10人未満の会社は作らなくていいって聞いたから大丈夫」
と思っていませんか?

確かに、労働基準法上、就業規則の作成・届出義務があるのは「常時10人以上の労働者を使用する事業場」です。そのため、10人未満の会社様が規則を作っていなくても、即座に法律違反になるわけではありません。

しかし、元請けからのコンプライアンス要求や人手不足が深刻化している現在の建設業界において、「就業規則がない(または古い)」ということは、企業経営において致命的なリスクを背負っていると言わざるを得ません。今回は、なぜ今、すべての中小建設会社に就業規則が必要なのか、考えてみたいと思います。

これまで当事務所のブログでは、総合評価落札方式における入札加点(社会的取組評価)や、名古屋市をはじめとする自治体の子育て支援企業認定、女性活躍認定など、受注を拡大するための「攻めの戦略」を数多くお伝えしてきました。

実は、これらの中小企業向け行政認定や入札加点を狙う際、「適切な就業規則が整備されていること」が事実上の必須要件、あるいは大前提になっているケースがほとんどです。

行政の各種認定や優良企業としての表彰、あるいは加点審査の場では、担当窓口から法律通りの文言が記載された「就業規則(または育児介護休業規程)」そのものの写しの提出を求められます。

たとえば、育児休業などの両立支援に関する公的な基準や助成金(両立支援等助成金など)の要件を確認すると、制度が「就業規則等に規定されていること」が明記されています。

参考:厚生労働省「育児・介護休業法について」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000130583.html

参考:厚生労働省「柔軟な働き方を実現するための措置とは」
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/ryouritsu/ikuji/flexiblework/

つまり、どれだけ「攻めの経営」をして入札で有利に立とうとしても、足元の就業規則が未整備であるだけで、点数を獲得するチャンスや国の支援を受ける機会を自ら逃してしまうことになるのです。

次に、企業防衛(守り)の視点です。就業規則がない、または内容が形骸化している会社は、万が一従業員との間でトラブルが発生した際に、会社を防御する法的手段を失ってしまいます。

事前にルールを決めておかないと、いざ大きなトラブルが起きた際に、後から従業員側(あるいは労働組合や弁護士)から「不当な処分だ」「違法な減給だ」と主張された際、会社側が非常に不利な状況に追い込まれてしまうという事態に陥ります。

現在、国を挙げて建設業の働き方改革(週休2日の推進や適正な労務管理)が進められており、元請企業や行政からのチェックも厳格化しています。

参考:国土交通省「週休2日の取組方針について」
https://www.mlit.go.jp/tec/tec_tk_000041.html

現場への移動時間の扱いや、定時を過ぎてから法律上の上限(8時間)に達するまでの「法定内残業」の扱いについても、就業規則(賃金規程)に正しい計算ルールが書かれていなければ、後から過去に遡って多額の割増賃金を請求された際、対抗する法的根拠がなくなってしまいます。10人未満の会社であっても、労働トラブルのリスクは一瞬で会社の経営(実行予算)を傾かせる爆弾になり得るのです。

深刻な人手不足が続く建設業界において、優秀な若手人材の採用と定着は最重要課題です。

今の若い世代(Z世代など)の求職者は、会社を選ぶ際に「給与の額面」だけでなく、「労働条件の透明性」や「クリーンな職場環境」を非常にシビアに見ています。求人の応募時や面接時に、求職者側から、就業規則や規程を確認されることも今や珍しくありません。

逆に、少人数の会社であっても、しっかりとした就業規則を提示し、「うちの会社は規模こそ少数精鋭ですが、法律を遵守し、社員が安心して働けるようにルールをすべて明文化しています」と胸を張ってアピールできることは、大手企業と並んで優秀な若手を獲得するための強力な武器になります。就業規則は、採用における最高の「信頼の証明書」なのです。

では、実際に就業規則を整備するにあたり、経営者様は何から始めればよいのでしょうか。

ここで最も避けるべきなのは、「インターネットから適当な無料の雛形(テンプレート)をダウンロードして、社名だけ変えて使うこと」です。

厚生労働省も一般的な就業規則のモデルを公表していますが、これらはあくまで「あらゆる業種の最大公約数」として作られた、オフィスワーク(完全週休2日制・1日8時間勤務の事務職など)を想定した内容になっています。

参考:厚生労働省「モデル就業規則について」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/zigyonushi/model/index.html

そのため、日給月給制や現場への移動、天候による休日の変動、変形労働時間制などが絡む「建設業の実態」には全く適合しません。

自社の働き方に合わないオフィスワーク向けの規則をそのまま導入してしまうと、会社を自ら窮地に追い込むような大トラップを背負い込むことになります。就業規則を作る際は、現在の「現場のリアルな拘束時間」「給与の支払い方」「休日の日数」をすべて洗い出し、自社の実態に合わせた「建設業特有のオーダーメイドの規則」にすることが不可欠です。

就業規則は、単に「労基署に提出するための書類」でも、「従業員を縛り付けるための道具」でもありません。 社長が「この会社をどうしていきたいか」「社員にどういう規律を持って働いてほしいか」「頑張った人にどう報いるか」という、経営理念と覚悟を文字にした、会社にとって最も重要な防衛線であり、成長の基盤です。

当事務所は、行政書士としての建設業許認可・入札加点対策から、社労士としての労務管理、そこで培ったノウハウを活かした人事コンサルタントとしての就業規則・賃金制度の設計まで、建設業経営を「攻めと守り」の両面から総合的にバックアップしております。貴社の実態に寄り添い、会社と社員の未来を守るルール作りを全力でサポートさせていただきます。

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