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2026年1月1日、「中小受託取引適正化法(取適法)」が施行されました。本法は、従来の下請法を改正したもので、業務委託取引における中小事業者の利益を保護し、取引の適正化を図ることを目的としています。公正取引委員会が所管し、近年問題視されてきた一方的な取引条件の押し付けや、支払遅延の是正が大きなテーマとなっています。
しかし、ここで注意が必要なのが「建設工事は取適法の対象外」である点です。建設工事については、引き続き建設業法の規定が適用されます。つまり、建設業に携わる事業者は、取適法ではなく、建設業法に基づく「下請代金の適正な支払いルール」を正しく理解し、実務に反映する必要があります。
建設業法が定める「下請代金の適正な支払い」とは
建設業法では、元請負人と下請負人の力関係の差による不利益を防ぐため、支払時期や方法について具体的なルールが定められています。特に重要なポイントは次のとおりです。
ポイント1:出来高払・完成払後の支払期限(建設業法第24条の3第1項参照)
元請負人は、発注者から出来高払または完成払を受けた場合、その支払対象となった工事を施工した下請負人に対し、1か月以内、かつできる限り短い期間内に下請代金を支払わなければなりません。このルールは一次下請負人、二次下請負人へと連鎖的に適用されます。
ポイント2:労務費は現金払いが原則(建設業法第24条の3第2項参照)
下請代金のうち、労務費に相当する部分については、現金で支払うよう適切な配慮が求められています。やむを得ず手形で支払う場合でも、手形期間は60日以内とし、できるだけ短期間に設定することが重要です。
ポイント3:前払金の適切な配分(建設業法第24条の3第3項参照)
元請負人が発注者から前払金を受け取った場合、下請負人に対しても、資材購入や工事着手に必要な費用として前払金を支払うよう配慮しなければなりません。工事の準備は下請負人によって行われることも多いので、資金繰りを圧迫させないための重要なルールです。
ポイント4:完成検査と引渡しの期限(建設業法第24条の4参照)
工事が終わった後の流れも決まっています。
- 完成通知(下請→元請)
- 完成検査:工事完成の通知日から20日以内で、できる限り短い期間に行う
- 引渡し:検査合格後、引渡し申出があったら直ちに引渡しを受ける。
通知や申し出は口頭でも可能ですが、トラブル防止のため書面で行うことが望ましいとされています。
ポイント5:特定建設業者の支払義務(建設業法第24条の6参照)
特定建設業者は、下請負人(特定建設業者又は資本金が4,000万円以上の法人を除く)から工事目的物の引渡しの申し出があった日から50日以内に下請代金を支払う義務があります。これは、発注者からの入金有無にかかわらず適用される点が大きな特徴です。
特定建設業者は、「元請としての義務」と「特定建設業者としての義務」の両方を負うため、
- 出来高払・完成払を受けた日から1か月以内
- 引渡しの申し出から50日以内
このいずれか早い方で支払う必要があります。
特定建設業者は、元請としての義務【ポイント1】と特定建設業者の義務【ポイント5】の両方の義務を負うので、出来高払いや完成払いを受けた日から1ヶ月以内か、引渡しの申出から50日以内の支払期日(支払期日の定めがなければ引渡し申出日)のいずれか早い方で支払わなければなりません。
なぜ「適正な支払い」が重要なのか?
昨年の大阪万博関連工事でも「工事費未払い問題」が大きく報じられました。下請代金の支払いの遅れは、下請負人の資金繰りを直撃し、経営悪化や倒産につながる深刻な問題です。
現在、建設業者数は約48万業者。ピーク時(平成11年度末)から約20%も減少しています。 震災復興、防災、そして地域の守り手として、社会インフラを支える建設産業は不可欠な存在です。
持続可能な建設産業を守るためにも、私たち一人ひとりが「適正な支払いルール」をしっかりと理解し、遵守していきましょう。
法令遵守は単なる義務ではなく、建設業界全体の信頼と未来を守るための土台です。今一度、自社の支払実務を見直し、適正な取引を徹底していきましょう。
執筆者 T
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