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ワークライフバランスの「ライフ」とは、まさかとは思いますが「副業」のこと?
国の施策として「働き方改革」が推進されています。
「働き方改革」とは、わかりやすく説明すると次の通りです。
働き方改革:
人手不足が進む日本で、すべての人が自分らしく、
健康に働けるようにするための国の取り組み。
誰でも活躍:
子育て中の人材、高齢者など、
一人ひとりの事情に合わせて
多様な働き方(時間、場所など)を選べるようにする。
健康と生活:
長時間労働の是正し(残業削減)、
仕事と私生活のバランスを良くし、心身の健康を推進する。
公平な評価:
正社員と非正規社員の間にある不公平な待遇の差をなくす(処遇改善)ことで、
誰もが納得して能力を発揮できる社会を目指す。
以上のような感じでしょうか。
これらの中で、
企業経営者が雇用人材に対して、特に取り組むべき事項として
長時間労働の是正(残業削減)が挙げられます。
その対策として、
残業の上限規制も設けられました。
要するに
人材に対しては、「働きすぎに注意しなさい」。
事業主に対しては、「人材を働かせすぎないように」。
ということでしょう。
そして、まじめな企業ほど、
残業削減に取り組み、
長時間労働が是正されています。
そこで問題が。
働く側の人材の中で
「これ以上、給料が減ったら困る」
という人材が出てきたのです。
私も数多く企業の残業削減のお手伝いをしてきましたが、
その企業に勤務する人材の中で
「残業を減らしたくない」
という人材が一定数存在しており、
いわゆる意図的に残業代を稼いでいる人材が居るのです。
特に運送業のドライバーや、
建設業の技能者(作業者)等の
ブルーカラーの方たちが多いのです。
また、ホワイトカラーでも、
表立っては主張しませんが、
「残業する権利・仕事をする権利」を
主張する方たちも一定数居るのです。
このような国による「自己満足的」な、
働き方改革の推進によって、
迷惑している方たちも存在するのです。
それを考慮してかは不明ですが、
国は、副業を推進していますね。
長時間労働を是正しなさい(残業削減しなさい)と
指導しておいて、
企業に副業を認めさせる方向とは、
大きな矛盾です。
そもそも、副業は、労働ではないのですか?
副業にもいろいろあるでしょう。
個人事業としてサイトの構築を請け負うのも副業ですし、
ファミリーレストランで短時間アルバイトも副業です。
これらはいずれも仕事であり労働です。
個人事業として働く場合は、
労働契約法及び労働基準法上の労働とは言えないかもしれませんが、
経済学的な定義では、個人事業主としての活動は労働であり仕事です。
そして、そもそも、前述の「働き方改革」では、
健康と生活:
長時間労働の是正し(残業削減)、
仕事と私生活のバランスを良くし、心身の健康を推進する。
が、含まれていますので、
個人事業主としての労働を含めて、
「副業」を推進することに矛盾があるのです。
そして、現時点では、労働時間の通算という
大きな問題があります。
例えば、
あなたの会社の所定労働時間が
9時~18時(休憩:12時~13時)の8時間労働の場合。
仮に社員のA氏が、
あなたの会社の勤務開始前の
早朝の6時~8時の2時間、
ファミリーレストランでアルバイトして出勤して
9時から仕事についた場合、
業務開始は、ファミレスでの業務開始時刻の早朝6時となります。
そして、それから労働時間として8時間経過した
16時からは、残業になるのです。
あなたの会社では、
16時~18時の2時間は、
25%以上の割り増しが必要な残業代となります。
あなたの会社だけの労働時間は、
9時~18時(1時間休憩)で、
8時間以内に収まっているので
本来、残業代は発生しないのですが、
副業であるファミレスの就業開始時刻である
午前6時から労働時間がカウントされるのです。
とても矛盾していませんか?
国は、「残業を減らしなさい」としておきながら、
「副業を認めてあげれば」と副業を推進し、
結果的に残業が増えてしまう。
「では、個人事業として自宅で仕事するのはいいじゃないですか?」
との意見が出そうですが、
本業に支障をきたす可能性のある個人事業も大きな問題です。
まだ、ファミレスでのアルバイトの方がマシかもしれません。
ファミレスでのアルバイトは、
労働時間が決められていますので、
まだ、歯止めが効きます。
対して、個人事業としての副業の場合、
例えば、サイトの構築を請け負う個人事業の場合、
作業しだしたら歯止めが利かず、
結果的に20時から作業を始めて、
早朝まで作業が続いてしまった、
なんてことも考えられます。
こんな状態で、
正社員として勤務する会社に出勤して
まともな仕事ができるのでしょうか。
以上のことから、
私は、社員の「副業」に対して、反対の立場なのです。
以上、国の矛盾政策について異議を唱えましたが
実は、国もそんなこと百も承知なのでしょう。
副業の勧めは、正社員人材が、
正規の勤務先だけで十分な給与を獲得できるまでの
繋ぎなのかもしれません。
だからこそ、最低賃金額をかつてない上げ幅で
上昇させているのでしょう。
ただ、いずれもしわ寄せを喰うのは、
中小企業です。
中小企業は、この矛盾した国の政策にどのように立ち向かうべきなのか。
ただ、ここに来て首相が厚生労働省に
「労働時間規制の緩和の検討」を指示しました。
これは、必要なことだと思います。
首相は、国会において、
「残業代が減ることによって、
生活費を稼ぐために無理して副業をすることで
健康を損ねてしまう方が出ることを心配している」
と答弁しました。
まさにその通りですね。
ちなみに前述の
中小企業はどのように立ち向かうべきなのかの答えは、
昇給や支給の根拠を明確にした「賃金制度」の導入が
複数ある一つの答えでしょう。
最後までお読みいただきありがとうございます。
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執筆者 山本昌幸

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